6月14日(水)18:45~北勢支部6月例会をプラトンホテルにて開催しました。今回は報告者を(有)クローバー総合保険事務所 代表取締役 田中大補氏に依頼し、「同友会での学びを社員と共有し実践する全員経営への道」~企業変革支援プログラムver2の生かし方~をテーマにご報告いただきました。
様々な書籍や人との出会い交流を通じて情報収集と分析を行い、成功の共通点や関連性を見出すことを意識し、同友会でも積極的に活動に参加し学ばれている田中氏は、昨年10月に発刊された企業変革支援プログラムVer2を発売と同時に購入され、すでに実践されている経営指針に取り入れ、今回改めて社員とともに見直しを図られました。
企業変革支援プログラムでは6つの大項目が設定されており、それらの関係性をオセロゲームに例えていただきました。同友会がすすめる「人を生かす経営」の中心は「人」であることから、経営理念として会社のあるべき姿や方向性の共有、それをどのように実現していくかの方針や計画の共有、企業を取り巻く環境や時代の変化など情勢認識の共有、自社の強みを活かした付加価値の共有を中心となる社員にいかにわかりやすく伝えて理解を深め、全員で実践し成果につなげていくか。田中氏は「難しいことを易しく伝えて、社員が理解し実践できるようにすることが経営者の役割(トップの考えを理解してもらうトップシェア)」と話されます。
経営理念においては繰り返し見直しを図られ、3回のリニューアルの結果、現在の経営理念『Joy of Work 4つの働く喜び』にたどり着かれました。もともとは「貢献」を示した1行理念でしたが、経営品質の取組を通じて従業員満足(ES)の概念に触れ、「協力」と「成長」が追加。さらにコロナ禍の経験からかねてより重点を置いていた「回復」を加えることで形づくられていきました。これに合わせて12の行動指針と10の約束をまとめられ、日常の行動から経営理念につながることを社員と共有されています。またパーパス(存在意義)についても見直され、保険という機能を使って経済的に原状回復をさせ、再び訪れる「幸せ」回復を支援する「幸せ回復支援業」と定義されました。
企業変革支援プログラムVer2から新たに追加された項目でもある「企業の社会的責任」においては、自社業界での改正保険業法に沿った取組事例を紹介いただき、項目追加された背景についての分析と経営者の責任についてお話しいただきました。
内外の情勢分析では、危機感を前向きに持つクセ付けることを意識し、前向きな危機感を持つことで使命感を養うことにつなげてみえます。自動車保険が70%を占める中で新車台数の販売減少やEV化・自動運転などによる将来的な先細り懸念される環境の中、それを補う市場開拓に「回復」を強みとして防災に力を入れて事業継続を積極的に取り組んでいる団体に認証される国の制度であるレジリエンス認証を2018年に県内初の企業認証、2022年にはゴールド認証を受けるなど、新たな付加価値を育てています。田中氏は、ナンバーワン・オンリーワン・ファーストワンの3つ“1”がある中で「ファーストワン」を目指して取り組まれており、県内初の企業認証はその実践の1つです。
また同時期におきた大型台風の被害から4C(カスタマー・カンパニー・コラボレーター・コーディネータ)-Winの関係を構築されました。これもともとある商品や技術(強み)を活かし合いながら連携した新たなサービスを展開構築した出口連携の取組で、田中氏が尊敬する(株)宮﨑本店 宮崎会長から聞いたかつての1言がきっかけとなり実現されました。また地元楠町で異なる事業者10社によるネットワークを組織し、「平時の共創と有事の協力」をスローガンに防災意識の高い町づくりにも取り組まれています。
最後に、同友会には「人を生かす経営(労使見解)」を土台に企業変革支援プログラムVer2など経営に生きる確かな教材がある。そして他社の取組にはより実践的で、ヒントがたくさん詰まっており、自社の課題が整理できる。そして異業種だからこそ面白さや、ファーストワンが取れるチャンスがそこにある。鎧を脱いで、弱みを見せ、共に学びあい、実践しましょう!」と呼びかけれ、田中氏が名刺刻む好きな言葉「これからがこれまでを決める」(宇宙物理学者 佐治晴夫さんの言葉)を紹介いただきました。
参加者からは田中氏の経営姿勢に対する熱い想いや行動力に感心が寄せられるとともに、経営者の考えや想いを社員と共有する(トップシェア)、そのためにいかにわかりやすく伝える工夫をするかなど田中氏の実践を参考に自社での課題を整理し、取り組む決意の感想が多く寄せられ、熱気あふれる例会となりました。