8月9日(金)16:00より東海財務局津財務事務所の米田征史新所長と職員の方々と三重同友会正副代表理事会とで意見交換会を実施しました。
冒頭、津財務事務所が7月に実施した景況調査の結果について津財務事務所 米田所長より報告説明され、景況調査結果の報告を踏まえて、業界・各社の現状や課題、特に原材料価格の上昇、労務費の増加、人材確保の難しさ、金融機関との関係について意見交換を行いました。主なポイントは以下の通りです。
<原材料の価格上昇とその影響>
原材料価格の急激な上昇が大きな問題となっています。特に金属加工業では、鉄やステンレスの価格が倍以上に上昇し、コストを顧客に転嫁することが難しくなっています。
企業側は顧客に価格転嫁を求めるものの、受け入れが進まず、特に大手企業からのコストダウン要求が続いている状況です。
また価格競争が激化し、一部の競合他社が非常に低価格で仕事を請け負うことで、自社の価格構造が厳しく問われています。
<労務費や人材確保の難しさ>
労務費の増加と人材確保の難しさも大きな課題です。外国人労働者の確保が特に難しくなっており、日本の賃金が他国に比べて低くなっていることが一因とされています。
これにより、外国人労働者が他国を選ぶ傾向が強まり、日本が魅力的な労働市場としての地位を失いつつあります。
さらに、日本での労働条件が改善される一方で、労働時間の規制が厳しくなり、労働者が稼ぐ機会が減少していることも指摘されました。
<価格競争と取引の厳しさ>
競合他社が非常に低価格で仕事を受注していることに対する不満が表明された。これにより、自社のコスト構造が問題視され、さらなる価格引き下げが求められる場合がある。
<金融機関との関係>
金融機関との関係においては、企業側が新しい事業への取り組みや財務面でのアドバイスを求めているものの、十分な支援が得られていないとの意見が出されました。金融機関が提案する内容が企業の実情に合わない場合があり、企業はセカンドオピニオンを必要とするなど、余分なコストが発生しているという問題も上げられました。
<人材問題>
人材の確保についても大きな課題が浮き彫りになりました。転職が頻繁に行われる現状において、企業は採用コストの増加に直面しており、採用した人材が短期間で離職してしまうことが問題となっています。
また採用コストが高騰しており、人材紹介会社に支払う手数料が年収の30%にも達するケースもあります。こうした状況下で企業は、職場環境の改善や人材の定着を図るためにコミュニケーションを重視し、人間関係のトラブルを防ぐ努力をしています。
<法規制や環境への対応>
法規制や環境問題への対応が新たな負担として挙げられています。特に化学物質の管理に関する調査依頼が頻繁に行われており、これが下請け企業にとって大きな負担となっています。
企業はこれらの調査に対応するためのリソースを割かざるを得ず、新たな業務負担が生じているとのことです。
最後に、地域の金融機関との連携協議会の取組についても議論が行われました。若手社員の育成や事業性評価に関する取り組みが行われていますが、現状ではその効果や有用性に対する疑問が示されています。若手社員が企業の実態を理解し、適切なアドバイスができるような体制づくりが求められています。
全体として、原材料価格の上昇や人材確保の難しさなど、企業が直面している厳しい現状が浮き彫りにされ、これに対する適切な支援が必要であるとの認識が共有されました。また金融機関との関係強化や業界全体の改善に向けた取り組みが必要であることが確認されました。
<意見交換会の参加者>
【東海財務局 津財務事務所】 5名
財務事務所長 米田 征史
総務課長 水谷 昌弘
理財課長 平光 徹
財務課長 青木 亮介
総務課企画係長 伊藤 弘樹(事務局)
【三重県中小企業家同友会】 7名
代表理事 西村 信博
代表理事 平松 洋一郎
副代表理事 佐野 貴信
副代表理事 松岡 賢
総務委員長 前田 昌彦
北勢支部長 市田 明
事務局長 成川 総一