北勢支部12月例会『食×テクノロジーで世界へ』~逆境力と連携力が中小企業を成長させる~

12月3日(金)プラトンホテル四日市に北勢支部12月例会を開催しました。

今回は報告者にミナミ産業(株)代表取締役 南川 勤氏をお招きし、『食×テクノロジーで世界へ』~逆境力と連携力が中小企業を成長させる~をテーマにご報告いただきました。

 

 

苦境からの出発 危機が生んだニッチトップ戦略

豆腐市場の縮小と地域豆腐屋の減少や社内でのトラブルなどもあり廃業寸前のところで継承した南川氏社長。先代がデスクに置いてくれていた1つの記事をきっかけに、経営理念「食を通じて、世界の人たちの健康や平和に貢献する」を掲げて、他社との差別化からニッチトップを目指す戦略に転換されました。

 

販路を広げた連携の力で世界に挑戦

戦略転換を機に南川社長は、自社でできることとできない事を判断し、周囲に協力を要請してできる事業の推進を図るとともに、地域での連携すすめます。産学連携と農商工連携をすすめる中で、卓上鍋『萬来鍋』や独自の粉砕技術の開発し、おからの出ない大豆丸ごと豆腐などを展開し、いまは豆腐ビジネスの多角化経営をすすめています。

国内での食品業界の中でも豆腐製造の事業者の減少は著しく、この20年で約1/3に減少。一方で海外での日本食需要が拡大していることから世界に目を向け、豆腐の伝道師としてNY・LA・香港・シンガポールなど様々な国での展示会に出展や体験型PRマーケティングを行い、大豆・豆腐の魅力を伝えるとともに、現地レストランとの取引を増やし、海外での市場を切り拓いてこられました。現在はこれまでに培ってきたノウハウ・知識をもとに貿易コンサルティングを行う萬来トレーディングコンサルタントをはじめ香港・台湾・フランス・ベトナムなどにグループ関連会社を置かれています。

 

 

食×テクノロジー=フードテックと取り組む社会的課題

10年ほど前に出版された「モダニスト・キュイジーヌ」をきっかけに、「料理はサイエンス」とプログラマーたちが食の分野に注目し始めたことから、農業・代替ミートの開発など最新のテクノロジーを食領域の課題解決や発展に生かす「フードテック」によるイノベーションが世界中で過熱し、700兆円市場へと急成長しています。

フードテックによって克服すべき問題や課題については、環境問題、食料問題、人手不足や食の安全など非常に幅広く多岐にわたっており、注目されている分野の1つです。南川社長もこの分野へのアプローチとして台湾一部上場企業と合弁会社を立ち上げ展開を図っています。

産業廃棄物のおからが出ない技術の普及や乾燥・微粉砕技術を応用して新たな付加価値商品の開発やフードロスへの取組をはじめ、様々な食品を高品質の状態で長期保存できる技術を確立して流通段階での廃棄を減らすフードウエイストへの取組、プロテインクライシスに対しての代替原料の開発など「食」をキーワードに「健康」「環境」「地域活性化」などの社会問題の解決に、様々な企業や機関との連携を図りながら事業をすすめて取り組まれています。

 

 

逆境をエネルギーに変えるコツ

様々な困難な局面を乗り越えてきた南川社長。モチベーションをいかに維持し、取り組んでこられたのか。その秘訣の1つとして「SOC(Sense of Coherence):首尾一貫感覚」という逆境力として知られるレジリエンスの新概念を紹介いただきました。

仕事環境や社会生活の中で避けられないストレスですが、そのストレスへの対処能力についての考え方をお話しいただき、参加者からも多く関心が寄せられました。

 

 

今回の例会は久しぶりにリアル参加を中心に集まり、互いの現状を含めて経営を語り合えたことで盛況な例会となりました。

次回は1月14日(金)に開催予定です。ぜひご参加ください。

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